(画像公開ポリシー)
少女の旅立ち。不安も大きいが、それを遙かに上回る夢と期待に突き動かされ、残る母に対して微笑みで手を振ることができる。たとえ、すぐ未来に厳しい現実が待っているとしても、それはまだ分からない。
トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。
今日のポケモンDPの感想。
サブタイトル §
ポケットモンスターダイヤモンド・パール~みんながこの日を待っていた…一挙3話&2時間SPで好スタート!!
として以下の内容を放送
- 第1話「旅立ち! フタバタウンからマサゴタウンへ!」
- 第2話「ピカチュウをさがせ! 202番道路!」
- TVシリーズのポケモンからポケモンAGまでのストーリーダイジェスト (ただしハルカに関するエピソードはほとんど略されている)
- 第3話「ライバルバトル! 三対三!!」
- ゲーム(ダイヤモンド・パール)情報
あらすじ 第1話「旅立ち! フタバタウンからマサゴタウンへ!」 §
ポケモンコーディネータの娘であるヒカリは、ナナカマド研究所で最初のポケモンをもらって旅立つことになります。
ナナカマド研究所からポケモンが逃げ出し、それを連れ戻す過程で、ヒカリはポッチャマと仲良くなり、それを最初のポケモンに選びます。その際、湖で伝説のポケモンを目撃します。
一方、ロケット団はサトシを襲撃し、ピカチュウを捕獲します。
しかし、ピカチュウは落下して行方不明になります。
あらすじ 第2話「ピカチュウをさがせ! 202番道路!」 §
ヒカリは、野生のポケモンのゲットに挑戦しますが、2回失敗します。
そこで、傷ついたピカチュウに出会い、それを捕獲しようとするロケット団からピカチュウを守ります。
ヒカリはロケット団を撃退し、ポケモンセンターにピカチュウを連れて行きます。
ヒカリは、コンテストは他にもあるからと言い、予定を変えてピカチュウのトレーナー探しを行うことを決めます。
ピカチュウを探すサトシは、綺麗なお姉さんのトラック運転手と旅をしていたタケシと出会い、再び一緒に旅をすることになります。
サトシは、空からピカチュウを探すために、ムックルをゲットします。
意味ありげに新ライバル(シンジ)が登場します。
あらすじ 第3話「ライバルバトル! 三対三!!」 §
サトシはシンジから三対三のバトルを申し込まれますが、エイパムとムックルしか持たないサトシは受けられません。
ヒカリはロケット団から襲撃を受け、ロケット団は新しい名乗りを披露します。
ピンチのヒカリに、サトシが助けに入ります。
必死にピカチュウを助けようとするサトシを排除しようとして、ロケット団は自滅して飛んでいきます。
サトシは、母から新しい服を送ってもらい、それを着ることになります。(ここからサトシのコスチューム変更)
旅は大勢の方が楽しいということで、ヒカリもサトシ達と一緒に旅をすることになります。
そこに、トバリシティのシンジがやって来ます。
ナナカマド研究所で三対三のバトルを行い、引き分けに終わります。
サトシは、ポケモンを戦いの道具としてしか見ず、駄目ならすぐに切り捨てるシンジに戸惑います。
感想 §
根拠はないですが、ヒカリは陽気なイタリア娘という印象を受けました。
楽天的で、細かいことはあまり気にせず、しかし芯が強い……。そういう感じです。
そう考えると、他のキャラクターにも根拠のない人種を当てはめることができることに気付きました。
ハルカは、ヒカリと対照的に地味で華がありません。しかし、生真面目なところがあったりするので、ドイツ娘という感じでしょうか。
カスミは、あまり色気がなく偏屈な生き方をあくまで貫くあたり、イギリス娘?
更に言えば、タケシ=は恋に生きるフランス人で、サトシは根拠のない自信に支えられた田舎者という感じがアメリカ人?
いやこれらは全く根拠のない単なる印象なので、突っ込まないように!
それはともかく、ヒカリはハルカとは決定的に異なるタイプの少女ですね。ハルカが痩せたガリガリの少女だとすれば、ヒカリは肉感的な色気を放つ少女です。それはファッションの面でも決定的な相違を見せています。
とはいえ、ヒカリの足は明らかに太すぎます。足が太くなるのは10代後半の少女にありがちな傾向であり、個人的には弱点にカウントすべきものではないと思います。もっと大人になれば、スラッとスマートになっていくはずのものでしょう。太めの足には未来の可能性が詰まっているという意味で、あれは美しく魅力あるものだと思います。
更に感想 §
まずヒカリの物語としてスタートしたポケモンDP。
ヒカリは物語の中心人物である……というのがポケモンAGのハルカと決定的に違うところでしょう。
ヒカリは、サトシとは全く関係のない人たちと暮らし、サトシとは会ったこともないナナカマド博士からポケモンをもらいます。そして、ピカチュウと出会い、ロケット団と出会い、サトシ抜きでピカチュウをロケット団から守るという行動に自らの判断で出ます。そのような行動から、ヒカリはピカチュウやロケット団に対して、自分なりの人間関係を持ちます。更に、ナナカマド博士に敬意を払い、オーキド博士を「川柳の人」と称することで、サトシが持つ権威性のバックグラウンドすら重視しません。その結果として、ヒカリはサトシに対して、完全に独立した他人であることに成功しています。ヒカリがサトシと一緒に旅をすることになるのは、単に行き先が同じ方向であるということであり、助けることを通じて親密になったサトシのピカチュウと一緒に旅ができるということでしかありません。
そうして、サトシとは全く関係のないドラマを紡ぎ出し始めたヒカリは、陽気で楽天的というだけでなく、いくつもの美徳を披露します。
たとえば、ナナカマド研究所からポケモンが逃げたと知った後、彼女は誰に言われることもなく、自分から率先して「探しに行く」と言います。こういった「その場その場で自分にできることを探し、誰に言われるまでもなく自分からそれを遂行する」というのは、人としての美徳です。同時に自分で勝手に決めつけず、一言断ってから行動に出るところも好ましい態度です。おそらく母親が立派な人物であり、きちんと通すべき筋を仕込まれて育ったのでしょう。彼女が自発的に行動するシーンはいくつもあります。、
とはいえ、ガチガチの良い子ではなく、むしろ常に明るく前向きに生きる娘なので、息苦しさはありません。母と娘の会話にも、軽い陽気さが漂います。
さて、母と娘といえば、ヒカリには父親がいないようです。ポケモンコーディネーターだったという母親の経歴と合わせて考えれば、やはりこの一家には綺麗に割り切れない何かが水面下にわだかまっているようにも思えます。母とヒカリの陽気さは、そのようなわだかまりの反動という側面があるかもしれません。
そうしたわだかまりを抱えたまま、それを陽気な態度で隠しつつ、ヒカリは旅を始めたことになります。そして、そのようなわだかまりを、一緒に旅をするサトシやタケシに全く悟らせてはいません。
それこそが、おそらくポケモンAGとポケモンDPを決定的に分ける相違点であり、視聴者がハラハラしながら見守るべき焦点であり、そしてヒカリ自身と、そしてサトシが向き合わねばならない最大の障害となるのかもしれません。
いずれにせよ、ヒカリというキャラクターは陽気さ、真っ直ぐさ、優しさ、色気などの表の魅力とは別に、屈折した心を隠し持った少女であることは間違いないような気がします。心が単純に割り切れない二重性、あるいは多重性を持つことは、人間のあり方そのものであり、それを描くことが「心のドラマ」であるとすれば、もしかしたらポケモンDPはまさにそれを指向している……と言えるのかもしれません。
今回の一言 §
サトシとシンジについても一言。
サトシはあまり進歩していないようにも見えますが、よく見るとそうでもないですね。
シンジと引き分けになった時、実質的には自分の負けだとすぐに認めています。単に、負けたら悔しいであるとか、ああすれば自分が勝っていた……などとは言いません。やはり、サトシはバトルフロンティアの激闘で成長しているのでしょう。
一方で、シンジというのは明らかにイヤな奴です。ポケモンをゲットしても技の多いものだけ残して残りを離す……という態度です。そういう育てる価値を否定するような行動を取ります。しかし、ナナカマド博士にきちんと挨拶をしてから立ち去るあたり、通すべき筋はきちんと通しています。単に我が儘に振る舞い、他人に迷惑をかけるだけの子供っぽい悪役とは一線を画しています。彼がどのようにサトシに絡んでいくのかも興味深いですね。この段階に達したサトシにとって、もはや単なる勝ち負けは重要ではないはずですので。
余談ですが、ゲットしたばかりでよく育ててもいないムックルや、やはりゲットして間もないエイパムを使って挑戦を受けるサトシというのは、遊戯王デュエルモンスターズGXでの、エド・フェニックスと遊城十代の最初のデュエルでのエドを思い出させます。エドはその場で仕入れた売れ残りのクズカードでデッキを組んで十代と良い戦いをして最終的に負けます。そういうハンデのある戦いを正面から受け、負けてみせるのは本物の王者の貫禄と言えるのかもしれません。そういう意味で、サトシは主人公というよりは、主人公に立ちはだかる王者の立場に近い存在になっていると言えるのかもしれません。